メニューボタン

2026.02.20

未来を「描く」力が、世界を書き換える。

Twitterでシェア LINEでシェア Facebookでシェア

受け継がれた「21世紀」というバトン

私たちが生きるこの21世紀を、かつて鮮烈なまでの色彩と情熱で描き抜いた先人がいました。漫画家・手塚治虫氏です。

正直、僕は手塚氏の作品をリアルタイムで追いかけた世代ではありません。僕やそれより若い世代にとって、彼が描いた『鉄腕アトム』や『火の鳥』の世界は、すでに身近にある「レガシー(遺産)」であり、教科書の中に載っているような、偉大な先人たちのビジョンでした。

大人になり、社会の仕組みをデザインする側に立ってみて、改めてその凄絶なまでの「予言の力」に圧倒されます。 空飛ぶクルマ、人間のように悩み対話するAI、高度にネットワーク化された都市。当時の大人たちが「子どもの夢」と片付けたかもしれない景色を、手塚氏はありありと可視化しました。

「未来をイメージして可視化したカリスマ的存在は、本当に未来を実現した」

この歴史的な事実は、私たちに一つの確信を与えてくれます。それは、未来とは「予測するものではなく、誰かが描いたビジョンに吸い寄せられるようにして作られるものだ」ということです。

経済に隠されてしまった大切なもの

先人たちが、科学技術の力で物質的な豊かさを実現してくれた一方で、現代を生きる私たちは、別の種類の壁に直面しています。効率化を突き詰め、あらゆるものを数値化し、経済合理性という物差しで測る。その結果、私たちは確かに便利で豊かな生活を手に入れました。しかし、ふとした瞬間に「これで本当に幸せなのだろうか」と、立ち止まってしまうことはないでしょうか。

僕が運営するR-pro、そして自分自身の活動の根底には、「明日が少し、やさしい世界になるように」というフィロソフィーがあります。今の社会では、本来「手段」であるはずのお金が「目的」になり、命の尊厳や、自然との調和、人と人との細やかな繋がりといった「目に見えないけれど、本当に大切なもの」が、合理性の名の下に削ぎ落とされているように感じてなりません。

手塚氏が、テクノロジーの進化の先にある「命の重み」を問い続けたように、私たちも今、この便利になった世界の先にある「心の充足」を見つめ直す時期に来ているのだと確信しています。

「現代の手塚治虫」に託される役割

今、私たちの目の前には、新しい時代のキーワードが並んでいます。 ネイチャーポジティブ(自然再興)、ウェルビーイング(心身の幸福)、シェアリングエコノミー(分かち合い)、サーキュラーエコノミー(循環型経済)。

これらは一見、難解なビジネス用語や環境用語のように聞こえるかもしれません。しかし、これらは決して机上の空論ではなく、私たちがこれから生きていく「新しい風景」の名前なのかな、と思います。

こうした概念を専門用語として語る専門家は当然必要なのですが、さらに必要なのは、かつての手塚氏がそうであったように、これらの概念が実装された社会がいかに美しく、いかに心地よいものであるかを、「圧倒的なリアリティをもって可視化する存在」ではないでしょうか。

  • ネイチャーポジティブ: 「環境を守らなければならない」という義務感ではなく、緑豊かな街で深呼吸する心地よさが、何よりも贅沢だと感じられるライフスタイル。
  • シェアリング: 物を所有することの重荷から解放され、誰かと分け合うことで生まれる「ありがとう」の循環が、孤独を溶かしていく光景。
  • サーキュラー: 無駄なゴミが消え、すべての資源が命のように巡っていく、淀みのない街の佇まい。

こうした「やさしい未来」の解像度を高め、多くの人が「そんな世界なら、今すぐ住んでみたい」と心躍らせるようなビジョンを描くこと。それこそが、現代における表現者やフラッグを立てる役割の人々に託された役割だと思うのです。

カリスマを待つのではなく、共創で描く

手塚氏は、一人の天才として膨大な物語を生み出しました。しかし、21世紀の「現代の手塚治虫」は、もしかすると特定の一人の個人ではないのかもしれない。僕が日々大切にしているのは、「共創というキーワードです。 一人のカリスマが道を指し示す時代から、ビジョンを共有する多くの人々が、それぞれの場所で筆を持ち、一つの大きな絵を描き上げていく時代なのだと思います。

ある人は最新のテクノロジーで資源循環の仕組みを作り、ある人は古民家を再生してコミュニティを育み、ある人は言葉で人の心を震わせる。それぞれが異なる役割を担いながら、同じ「やさしい未来」に向かって一歩を踏み出す。

僕の活動もその巨大なキャンバスの一部分を埋める、小さな色に過ぎません。けれど、その色が誰かの目に留まり、また新しい色が隣に描き足されていく。その「繋がり」の中にこそ、未来を現実にする力が宿っているのだと信じています。

日常の中から、新しい連載を始める

2026年を迎え、私たちが立っている場所は、かつての先人が夢見た「未来」そのものです。しかし、ここは理想のゴールとは言えないのではないでしょうか。命が大切にされ、自然が当たり前のように再生し、誰もが自分らしく「人生のレギュラー」として輝ける世界。 子どもたちが心から「大人になるのが楽しみだ」と思えるような社会を、私たちはまだ完成させてはいません。

「まだ実現していないこと」を、「当たり前の風景」として語り、描き続けること。 それが、かつての偉大な表現者たちが私たちに示してくれた、世界を変える有効なの方法の一つでした。

サーキュラーエコノミーが浸透した街で、お年寄りと子供がシェアリングカーで公園へ向かう。 ネイチャーポジティブな森で、人々がウェルビーイングを実感しながら働く。 そんな景色を、一人のカリスマの出現を待つのではなく、私たち一人ひとりが、自分の持ち場で新しい物語の作者になって描いていく。仲間が増えていく少年ジャンプのような世界観。そんな最高にワクワクする未来の連載を同時多発的に始められたら、明日が少し、やさしい世界になるような気がしています。

LATEST ARTICLES

2026.02.20

未来を「描く」力が、世界を書き換える。

2026.01.01

2025年の振り返り/2026年は、当たり前のことが当たり前に優先される世界の実現のために奔走します!

2025.12.10

CAMPFIRE パートナーアワード2025にて「東海‧北陸エリア賞」を受賞しました